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jummai-daiginjo shu
made from premium branded rice "Kojounishiki"
jummai: pure-rice sake (i.e. without added alcohol or sugar)
daiginjo: made from highly polished rice using special technic
2021/05/16 開栓
でんしゅ。5月15日、手元に届いた日に記事を投稿したが、私が最も好きな酒の一つである。
はじめて飲んだのはいつだろうか。もう覚えていない。まだ日本酒といえば淡麗辛口で、たとえば獺祭も九平次も聞いたことがなかった時代だと思う。
青森の居酒屋でいただいたのだが、あまりの旨さ、それまで日本酒らしさと思っていた日本酒の味との違い、確かに酒なのに酒の嫌味がとことん無い。それでいて力強い味があること。ともかく驚いた覚えがある。
店は肴も旨かったはずだが、その時体験した田酒の驚きに圧倒されて、あまり料理の印象が残っていない。地のホタテや莫久来で呑んだはずだ。
以来、毎年とはいかなかったが、今年も手に入れることができた。
栓を切ると、ふっと香りが立つ。米。米らしさがそのまま来た感じの。香気が鼻を撫でるがさっと散る。けっして香り過ぎではない。香りが中心という酒もあるが、少なくともこれはそうではない。
金属のグラスにとる。写真のとおり泡はつかない。ガスはほぼ感じない。中から甘口。中口寄りか。
派手さはまるでないのに、この旨さはどうだ。酸、甘、苦。旨味、あるいは雑味。どれ一つとして突出しない。まず何の味がするのかと言われると悩むが、だのにハッキリとした田酒の型があるのだ。田酒、古城錦とはこういう酒だと、舌の上に輪郭を結晶できるような。
そして味がすっと引いたあと残るのはやはり米の香り。あるいは田園。
特筆すべきは酔いさえ心地よいこと。いや酔いは心地よいものだが、そこに曇りが一片もないのだ。気持ちよく酔い、そのまま後腐れなく醒めていく。
この田酒の醒めは、あまりにも後を引かないのでどこか物足らないような、あるいはどこか醒め過ぎたような、不思議な心地になる。
マルコム・ラウリーという作家がいる。国内ではほぼ無名だが、「活火山の下」というのが訳されている。
その焦点人物(とんでもない酔っ払いだ!)が、「酒というのは飲めば飲むほど醒めて(sober)しまう」と述べる。彼はおそらく、そういう飲み方しかできないところまで堕ちてしまったのだろうが…
飲めば飲むほどsoberになる。
かつて私はアブサンとか、あるいはペルノ、茅台やグラッパ、カシャッサなど度数の強い酒を舐めては、そんな気分を味わっていた。確かに酔っているのだが、気分はどうしても集中が増すというか、真剣になるというか。
この田酒の醒め。かつてのこの酔いの対極にも見える。同類にも見える。
今回肴は、自作のからすみの残り。マグロユッケ。サラミ。赤センマイ。シマチョウ。牛レバ。カツオ塩辛。チーズ(ウォッシュ)。ふぐの子の糠漬け。
#日本酒 #田酒 #古城錦 #和食 #青森の料理