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いい親になんて、ならなくていい。
私は「ひっそりと肥やし」になる覚悟

幼い頃の私、そして今の気づき
私は小さな頃から、人より何でもこなせる能力があったようです。
だからこそ、他の子も同じようにできるのだろうと、素朴に思っていました。
誉められるのは、ただ褒めてくれる方々の社交辞令のようなものだと、ずっと考えていました。
でも現実は違いました。
できない子たちの親から、嫉妬や意地悪を受けることが少なくありませんでした。
今思えば、あれは本当に情けない、幼稚な大人の姿だったのだと気づきます。
何もできないことを棚に上げて、できる子を僻む——そんな親の姿を、子供の私はただ静かに受け止めていました。
子育てをしている中で、私はさらに痛いほど実感します。
今の親たちは、昔よりもさらに「大人になりきれていない」事実と直面するのです。
自分を過大評価し、子供を自分の延長線上に置いてしまう。
SNSで「良い親」をアピールすることに必死になるあまり、子供の心の声に耳を傾けられなくなっている——そんな大人の幼稚化を、静かに見つめざるを得ません。
だからこそ、私は強く誓ったのです。
自分の子供には、ちゃんと子供らしい時間をあげたい。
親が「良い親」という看板を背負って前に出てしまえば、
子供は自然と影に隠れ、親の顔色をうかがいながら生きるようになります。
だから私は決めました。
自分は主役の座を潔く降りて、
ひっそりと「肥やし」になる。
土のように、目立たず、派手さもなく、けれど確実に、
子供が健やかに根を張り、大きく葉を広げていくための土台になる。
今、私が子供に料理を作る理由
長年かけて積み重ねてきた料理の技術と栄養の知識が、ようやく「本物」として実を結び始めました。
今だからこそ、味がわかる。
だからこそ、私は子供に料理を作ります。
加工食品や過度な甘いものに頼り、子供の情緒を乱してしまうような波から、
家族を守るための静かな防波堤——それが、私の毎日の台所です。
言葉で飾る優しさよりも、一皿一皿に込められた「圧倒的な食のベース」の方が、ずっと強く、子供の体と心を支えてくれます。
ひっそりと、けれど凛として
朝の台所に立つと、包丁の軽やかな音と、出汁の優しい香りが静かに広がります。
私たちが本当にすべきことは、「立派な親」を演じることではありません。
子供の細胞一つひとつに「本物」の味を刻み込み、
記憶の奥底に「安心できる食卓」のぬくもりを残すこと。
親が自分の未熟さを認め、それでも「今できる最善」を尽くして台所に立つ。
その穏やかで、凛とした背中こそが、子供にとって最高の教育になるのです。
親の評価なんて、どうでもいい
私が心から見たい光景は、ただ一つ。
子供が親の顔色をうかがうことなく、
舞台の真ん中で思いっきり笑い、歌い、跳ね回っている姿。
その姿こそが、親としての、たった一つの、最高の「勝利」なのです。
私はこれからも、
目立たず、派手さもなく、
ただ静かに、家族の土となり、肥やしとなり続けます。
だって、子供が健やかに根を張り、
大きく強く生きていくために——
それが、私にできる、最高のかたちでの愛だから。

料理研究家 指宿さゆり
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