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昨夜は友人と会食した。ランチでの会食はしょっちゅうだが、夕食となると意外に機会が少なく、こうして夜に外で食事をともにするのは久しぶりのことだ。どうやら彼の奥様が出張中らしく、一人メシはどうにも気が乗らないとの理由で、親友である私に声がかかったのだという。彼とは気兼ねがないので、誘われればたいていは二つ返事だ。そうして向かったのが、「乙妻」。ここへ来るのはおよそ1年ぶりくらいだが、夕食の時間帯となると10年ぶりくらいではないかと思うほどである
長く通っている場所で、昼のスタッフとは顔なじみになっているものの、夜の方々はまったくわからない。しかしそれは当たり前のことだ。飲食店とは、昼と夜でまったく違う表情を持つものだし、客側もまた時間帯によって別の顔をしている。久しぶりの「乙妻」の夜の空気は、どこか懐かしく、しかし少し新鮮でもあった
彼はミックスフライを選び、私はオムライス。運ばれてきた皿の上にあったのは、小ぶりで丸い、黄色いマクラのようなオムライスである。ケチャップライスの色が以前よりやや淡くなったような気もしたが、口に運んでみると味わいも存在感も少しも変わっていなかった。これでいいのだ、この変わらぬ「街の定食屋の味」があればそれでよい。妙に気取ったり、過度に凝ったりせず、大衆食堂としての野趣あふれる風情こそが、こういう店の魅力なのである
食後は本来ならばまったりと過ごしたい気分だった。しかし、酒肴を追加注文するわけでもなく、ただ席に長居するのは、いくら夜半とはいえ失礼にあたる。そこで私は「どこかにお茶でもしにいくかい?」と提案してみたものの、ふたりとも腹が満たされすぎて、温かい飲み物すら入りそうになかった。そこで、「んでは明日のおかずを探しにいくかい?」と思いつき、彼を誘っていつもの激安スーパーへと向かった。彼は主夫であるだけに、素材・惣菜選びにも一家言ある。彼のアドバイスを参考にしながら決めた本日のメニューは以下の通りである。
①豚ロース味付け(トンテキ)
②おふくろの味きんぴらごぼう
③海老焼売
①豚ロース味付け(トンテキ)
惣菜コーナーをひととおり眺めてみたものの、どうにも心を惹かれるものが見つからず困っていたら、彼が「これがいいよ」と勧めてくれたのがこの味付け済みロース肉だった。輸入肉とはいえ、ロースはけっこう厚みがあり、値段のわりに立派である。「売切れ御免!」という表記もある。タレつきの肉は焦げやすいため、中弱火くらいでじっくりと焼くと良いと彼に言われ、その通りにほやほやと焼いたところ、まぁまぁ柔らかく仕上がった。ソースの配合こそ不明だが、ケチャップとウスターソースを合わせたような、まさに街中の古い洋食屋の風味があって、味も価格も庶民的でよろしい
②おふくろの味きんぴらごぼう
惣菜コーナーの重鎮といってよい。私の弁当の副菜は、ほとんどがポテトサラダ、マカロニサラダ、筑前煮、そしてこのきんぴらごぼうのいずれかで賄われていると言っていい。ここのきんぴらは、ごぼうとニンジンだけではなくレンコンも入っていて、ほんのり甘めの味つけがなんとなく嬉しい。どこか「家庭の味」に近く、疲れた時にも食べやすい
③海老焼売
説明不要の業務スーパー冷凍食品の名。レンチンだけで簡単にできてしまううえに、しっかり海老の旨味があって美味い。副菜にも追加の1品にも使えて、もはや弁当づくりの相棒のような存在だ
こうして、友人のアドバイスのおかげで本日の弁当も無事完成した。実に喜ばしいことである。そして喜ばしいといえば、彼もまたこの激安スーパーを気に入ってくれたようだ。私はこの店の営業でもなんでもないが、気に入ってもらえるとなんとなく嬉しいものだ。自分が日頃から愛用している場所を、気心の知れた友人が褒めてくれる。それだけで、昨日の夜の時間がいっそう温かいものとして記憶に残る
こうして、夕食から買い物、そして弁当づくりに至るまで、友人とのひとときは穏やかで愉快なものとなった。久しぶりの夕食会食は、単なる食事以上の意味を持つ。お互いの日常が少し混ざり合い、同じ時間を共有したというだけで、なんだか少しだけ生活が豊かになったような気がするのだ