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家族で集う、京都・烏丸五条『蕎麦の実 よしむら』でのひととき
京都・烏丸五条に暖簾を掲げる『蕎麦の実 よしむら』さん。
ここは、我が家が折に触れて訪れる、馴染みの手打ち蕎麦屋さんです。
私は長年、手打ち蕎麦の食べ歩きを続けているほどのお蕎麦好きなのですが、その背中を見て育った子供も、今や立派なお蕎麦好きに。
関西では「麺類といえば、おうどんやラーメン」というお子さんが多く、我が子も「周りのみんなは、おうどん派が多いみたい」と話してくれます。
それもそのはず、関西において手打ち蕎麦のお店は関東に比べてもはるかに少なく、特にお子さんを連れて本格的な味を楽しみに行ける環境は、なかなか限られているのが現状です。
また、一皿の量も控えめで、ご家族でお腹いっぱいいただくには、どうしても出費が嵩んでしまいます。一方のおうどんならば、1,000円もあれば心もお腹も満たされるほどの満足感。こうした現実的な「食の環境」の違いから、手打ち蕎麦が日常の選択肢として受け入れられにくいのは、ある意味仕方のないことかもしれません。
また、お蕎麦は本当に繊細な料理です。
時には、技術の確かな機械製麺の方が美味しく感じられることもあるほど、手打ちで「これぞ」という味を出すのは非常に高度なこと。それほどまでに、職人さんの技量が試される世界なのですね。
そもそも日本の麺文化は、東西でそれぞれの美徳があります。
関東は麺そのものの「喉越し」を粋に楽しむ文化。対して関西は、何よりも「お出汁の香り高さ」を慈しむ文化。
我が家では、そのどちらの良さも大切にしたいと考えています。関東風の喉越しの良さと、関西風の香り高いお出汁。その両方の魅力を、家庭の食卓でも精一杯表現できるよう努めているからこそ、子供も本物の味を身近に感じてくれているのかもしれません。
思い返せば3歳の頃、東京の『藪そば』へ連れて行った時のこと。
小さな体でせいろを2枚もお代わりし、最後には蕎麦湯までゆったりと楽しむ姿に、親の方が驚かされたものです。2週間ほどの「蕎麦旅」にも連れて行った経験が、我が子なりに食を慈しむ心として育ってくれているのなら、嬉しい限りです。
この日は、昼も夜もお蕎麦という、まさに蕎麦三昧の一日。
よしむらさんの真骨頂は、なんといってもその繊細で美しい麺線にあります。極細でありながら、喉越しは驚くほど滑らか。私は力強い田舎蕎麦も好みますが、こちらでいただく熟練の職人さんが高い技術で打つお蕎麦は、やはり格別の味わいです。
お蕎麦本来の風味を堪能したくて、注文は迷わず「せいろ」や「ざる」を。
主人と日本酒を酌み交わし、田舎蕎麦を肴に静かに流れる時間。子供はカリッと揚がった天丼に湯葉のサラダ、そして大盛りの「かけ蕎麦」を嬉しそうに手繰っていました。酒の肴の揚げ蕎麦や、海老、穴子、クリームチーズなどをを薄焼き卵で巻き蕎麦で巻いた「蕎麦寿司」のセンスの良さにも、和食店としての丁寧な手仕事が伺えます。
活気ある店内で、時には少し慌ただしさを感じることもありますが、温かい接客と確かなお味は、いつ訪れても心地よいものです。
家族で美味しいお蕎麦を囲む、満ち足りた夕食のひととき。
感謝の気持ちを込めて、ご馳走様でした。

料理研究家 指宿さゆり
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