2023年07月27日 (更新 2024年11月21日)

「夏のお弁当には大豆ミート」が日本の常識になってほしい!」〜大豆ミート料理研究家に直撃!第2弾【前編】

Snapdishでは、大豆ミートの魅力をもっと多くの方に知っていただきたいと考え、2022年3月29日(肉の日)に「肉の日に大豆ミートプロジェクト」を発足しました。

その活動のひとつとして、長年にわたって大豆ミート料理を研究されている料理家へのインタビュー企画をスタート。1回目の坂東万有子さんに続き、2回目は日本ソイフードマイスター協会代表理事でソイフード(大豆料理)研究家の池上紗織さんにお話をお聞きしました。

大豆ミートの衝撃①…出会いは、台湾の精進料理

今回インタビューしたのは、「日本ソイフードマイスター協会」代表理事で、日本のソイフード研究の第一人者として知られる池上紗織さん。
編集部)まず、大豆ミートの魅力に目覚めたきっかけを教えてください。
池上さん  今から十数年ほど前になりますが、副業で小さなカルチャーセンターみたいなサロンを姉妹で運営していたんです。料理教室も開催していたのですが、何か私たちのサロンならではの特徴を出したいと思っていました。その時にたまたま台湾精進料理を紹介してもらって、初めて大豆ミートに出会いました。

そこから「なんて面白い食材なんだろう」と大豆ミートに興味を持ち始めました。その台湾料理のお店から大豆肉を買わせてもらって、自分たちの料理教室には、必ず1品は大豆ミートを使ったレシピを入れよう、私達の料理教室の特徴にしようと決めました。

▲台湾の精進料理「台湾素食(タイワンスーシー)」は、精進料理の最高峰といわれています(写真はイメージ)
池上さん もともと料理が大好きなので、自分でもいろいろと大豆ミート料理をするようになったのですが、いざ使ってみるとパッと作れるような手軽な料理では全然美味しくならなかったんです…(苦笑)。
編集部)美味しくないのにハマっちゃった、というのが不思議なんですが…。
池上さん  最初に食べた大豆ミートがとても美味しかったので、すぐに辞めようとは思いませんでした。研究していくうちに、時間と手間をかけて頑張ると美味しく作れるようになりました。でもそれでは続かない。もっと簡単に美味しくする方法があるんじゃないかと、研究心に火がついてしまいました。

美味しい調理法を研究しているうちにとうとう、「これは絶対に広まるべき!売ってみない?」となって、大豆ミートの専門会社に製造委託をして、「ミラソーヤ」という商品名で販売を始めたほど。

外国人のお客さんが多い高級スーパーや百貨店通販で取り扱っていただけたのですが、当時は大豆ミート自体が知られていなくて、味以前に「大豆肉とは」というところから説明しなくてはいけないハードルがあって…。今思えば、時期尚早だったんですね。

大豆ミートの衝撃②…便秘も肌荒れも、花粉症も改善!

編集部)大豆ミートを食べ続けたら体質が改善されたのも、多くの人に広めたいと思われた理由のひとつだそうですが…?
池上さん  そうなんです。商品に付ける簡単レシピを考えるために、大豆ミート料理を毎日のように作っては試食する日々が1年ほど続いたんです。

で、ある時ふと「あれ?私、なんだか体質が変わっているぞ」と気がついたんですね。当時は便秘がひどくて、長年「ピンクの小粒」頼みだったんですが(笑)、劇的に改善されて、悩みだった肌荒れもなくなっていたんです。

一番の驚きは、毎年、本当にひどい花粉症だったのが、劇的に改善して、飲み薬に頼ることがほとんどなくなったことでした。
編集部)食生活で身体って、そんなに変わるんですね!?
池上さん  はい、自分自身の身体で実感してから、大豆にますます興味がわいて、そこからさらに勉強をするようになりました。

学べば学ぶほど大豆の栄養の素晴らしさがわかってきて、その魅力をニュートラルな立場で広めていきたいと考えるようになりました。そして2014年に一般社団法人日本ソイフードマイスター協会を設立したんです。設立当初から大豆ミートの調理法も伝えていますよ。

大豆ミートの魅力①…和食以外にも使えてメインのおかずになる

編集部)体質改善のほかに、大豆ミートを取り入れる生活になったことで、大きく変わったことは何でしょう?
池上さん  お肉を食べる量が減ったということですね。ほかの方からも、「お肉を使う頻度が減った」という声はすごくよく聞きます。

単に大豆を生活に取り入れるだけなら、毎日豆乳を飲むとか、お豆腐を毎日食べるとか、いろいろな方法がありますよね。私はソイフード研究家として、あらゆる大豆製品で和食だけにとどまらない様々なソイフードレシピ開発をしてきています。その中で、「大豆ミートだからこそ作れる」というソイフードもたくさんあるのです。大豆ミートがあるからこそソイフードのレパートリーが広がる。わかりやすいメニューだと、唐揚げでしょうか。もともとお肉で作るメニューを、大豆ミートのおかげで大豆でも作れるようになる。だからこそ自然とお肉が減りました。

昔ながらの大豆製品にはない噛み応えがあることで、メインのおかずにも使いやすいということが、大豆ミートの魅力だと思います。
▲池上さんが企画した新しい大豆ミート「ギャンモ」を使用したギャンモバーガー

大豆ミートの魅力②…脂を気にせず食べられる


編集部)シニアの方から「お肉だと胃にもたれるけど、大豆ミートだとお腹いっぱい食べてももたれない」という声をよく聞きます。
池上さん 動物性のお肉に多いギトっとした脂がないのも、大豆ミートの大きな魅力のひとつですよね。

私の小学生の息子がスポーツを頑張っていて、体作りのためにタンパク質をしっかり摂らないといけないんですが、脂っぽいお肉が苦手で、大豆ミートが大活躍しています。

夫も、ソイフードを摂り入れる生活でお腹を壊すことが劇的に減ったそうです。もっと若い時に知っていたかったと言われます。ただ夫は脂っぽいお肉も好きで、焼き鳥屋さんで鶏皮を10本ぐらい食べてしまうことが!それはあまりにも不健康なので、大豆ミートのフィレタイプを使って「鶏皮風」料理を作ったこともあります。「これなら好きなだけどうぞ」って(笑)。
▲池上さんが、鶏皮串好きのだんな様のためにフィレタイプの大豆ミートで作った「鶏皮風」。
編集部)・・・え!?鶏皮そっくりじゃないですか!
池上さん  私の信念は「何かわかって食べることが大事」なので、基本的に大豆ミートを「お肉の代替」とは思っていなくて、子どもたちにも騙すつもりは一切ありません。だから「今日は大豆ミートね」と必ず伝えます。

でもこの串は、なるべくそっくりを目指しました。味も食感もかなり近くて、美味しいですよ。作り方はヒミツですが、バーナーで焼き目をつけることでタレが香ばしくなって、夫にも大好評でした。かなり面倒なので、正直、趣味の領域ですけど!(笑)。

大豆ミートの魅力③…“生焼け”の不安がない

編集部)スナップディッシュユーザーの方は、すでに大豆ミートを使いこなしている方も多いのですが、まだ使ったことがないという方におすすめのお料理は何でしょう?
池上さん  息子のお弁当用に大豆ミートの唐揚げをよく作るんですが、唐揚げは大豆ミート初心者の方におすすめです。

夏場は、中心部まで火が通っていなくて万が一ちょっとでも生っぽいところがあると、そこから傷んで菌が増えますから食中毒が心配ですよね。でも大豆ミートなら、生焼けの心配がありません。

どこかのメーカーが、生のお肉と大豆ミートで菌が増える数を比較して発表してほしいと思っているほど。火の通りを気にしなくていいから、朝の忙しい時のお弁当作りにすごく便利なんですよ!
▲「大豆ミートの唐揚げ」は、乾燥タイプの大豆ミート(ブロック)を香味野菜(ネギの青い部分とや生姜)と一緒に煮戻します。おろししょうが・おろしにんにく・醤油・みりん・鰹節で下味をつけてから、片栗粉をまぶして油で揚げます。下味を漬けた状態で冷凍ストックしておくと便利。
編集部)揚げる時間が短くて済むのは、夏の暑い時は助かりますよね。お肉と違って手で触っても菌がつかないから気楽だし、お子さんといっしょにお料理する時も安心ですよね。
池上さん 脂身の多いお肉ほど、冷めると固くなって味が落ちますよね。でも大豆ミートなら、冷めたほうが味が染みて美味しくなるんです。それもお弁当向きなんですよ。

食中毒の不安が少なくて、短時間で調理きて、冷めても美味しくて、ヘルシー。 「お弁当に唐揚げを入れるなら、大豆ミート」が常識になってほしいですね。
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