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手料理
  • 2025/11/07
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【本日の俺飯】

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【本日の俺飯】今週最後は!パストラミ丼弁当だZE!

そして金曜日
今週最後の平日というだけで、朝から心が浮き立っている自分に気づく。
とーってもうきうき。まるで遠足前夜の小学生のようだ。
そんなに仕事が嫌いなのか、と問われれば、はい、この際だからはっきり申し上げよう。大嫌いです。
……いや、少し誤解がある。
仕事そのもの、つまり“業務”は嫌いではない。むしろ好きなのだ

図面を描くことも
書類を作ることも、打ち合わせで頭を使うことも、お客様と話をして信頼を積み重ねていくことも、どれも大いに好きである。ただし、その業務を「決まった時間」「決まった場所」で「延々と続けなければならない」というあの拘束感

それがどうにも性に合わないのだ。
机に縛られて、分刻みでスケジュールを刻まれ、昼休みの鐘を待つような一日。それを毎週、毎月、毎年と繰り返すうちに、どうにも身体が拒絶反応を起こす。けれど、それでも真面目にやってはいる。仕事は仕事、社会の一員として果たすべき責任は果たす。そのうえで、金曜日には「やっと自由の入口が見えた」と思って、心の中で小さくガッツポーズをする。だからこの高揚感は、どうか咎めないでいただきたい

さて、そんな金曜日
今週最後のお弁当を作る日でもあるのだが、今日は残りものがない。どこかで調達してこなければならないということだでもある

もちろん、すべての料理を一から自作するという選択肢もある。やろうと思えばできる。自分でもそう思う。だが、弁当一人分という分量がまた絶妙に面倒なのだ。多すぎても翌日に残るし、少なすぎても満足感が足りない。材料を余らせてしまうのも嫌だし、使い切るには工夫がいる

数種類の素材を買って
数日で使いまわすというのが理想なのだが、現実にはそんなに器用でもマメでもない。だから、閉店間際のスーパーで割引シールが貼られる時間を見計らって、ちゃちゃっとお得商品を仕入れてくるのが一番いい。節約と効率の両立である。

というわけで、昨夜
仕事帰りに立ち寄った西友で、目に飛び込んできたのが

「合鴨スモークパストラミ」。
税込430円が、なんと税込311円。
119円引きの大特価。値引きシールの輝きほど、庶民の心をときめかせるものはない。プチ・ブルジョワジーとしての私にとって、これは小さな勝利であり、静かな歓喜の瞬間である

パストラミ
香辛料をしっかり効かせた燻製肉のことだ。
その名を初めて知ったのは、まだ小学校低学年の頃だった。父親がよく行っていた新宿伊勢丹の一階、明治通り側に「ワインパブ」という店があった。今思えば、かなり洒落た雰囲気の店だった

ワインが金属製のジョッキで出てくる
という、当時の日本ではちょっと珍しいスタイル。
子ども心に「パブ」という響きが何やら大人の世界の象徴のように思えたものだ。そのとき父が頼んでいたつまみの一つがパストラミだった。スパイスの香りが強く、しょっぱくて、子どもの舌には少々刺激が強すぎた。だが、その味の印象だけは妙に残った。いつのまにかパストラミは、特別な食べ物から日常のスーパーに並ぶ商品へと姿を変えた。時代の流れとはこういうものだろう


そんなパストラミを
電子オーブンで10分ほど温め、ご飯の上にのせてみた。鴨の脂がじわりと溶けて、白いご飯に染みていく様子は、なかなか見ていて楽しい。脂の照りとご飯の艶が混ざり合って、いかにも「美味そう」という光景が広がる。冷めても味がぼやけないのが鴨の強みだ。冷めた弁当でも、きっと口に入れた瞬間にほのかに香る燻香と、噛むほどに出る旨味が昼の疲れを癒やしてくれるに違いない。

メインが決まれば、あとはいつもの通り
玉子焼きとヒラタケと揚げなすを、味つけもほどほどに炒める。冷蔵庫の奥から見つけた少しのパプリカを加えて、色合いを整える。おかず入れに詰めれば、見た目にも申し分ない。派手さはないが、どこか落ち着きのある弁当となった

黄色の玉子焼き、深い紫のなす、淡い茶色のヒラタケ、そして紅色がかったパストラミの鴨。地味ではあるが、なかなかよろしいではないか

これにて、今週最後の弁当が完成
あとは今日という日を、できるだけきれいに終わらせるだけだ。机の上を片づけ、未処理の書類に目を通し、夕方には心も身体も軽くして帰路につきたい。さあ、今週もあと少し。お弁当を片手に、笑顔で乗り切っていこう。気張って、参りましょう
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