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jummai-ginjo shu
jummai: pure-rice sake (i.e. without added alcohol or sugar)
ginjo: made from highly polished rice using special technic
2021/03/07 開栓
昨日、2/7に開栓したときのものを投稿したが、これはちょうどひと月後、3本目の天美になる。
詳しくは昨日の記事に書いたが、2本目の天美はそこまで美味しいと感じられなかった。初めての天美があまりに鮮烈な体験だったため、二本目は過度な期待があったのかもしれない。あるいは逆に初回はのぼせあがるようなところがあったのかもしれない。
そんなことを考えながら三本目を開けた。肴は家飲みする際の最近の定番となりつつある、スモークのよく効いた手作りサラミ、チーズ、生にんにくたっぷりのマグロユッケ。昨年末に作ったからすみの残りと、塩辛の類。刺身が少々といったところ。
栓を開くとフワッと香りが立つ。ごちゃごちゃとした私の浅慮などひと息に吹き飛ばすような、爽やかだがしっかりと芯のある香り。
栓を切るのはいつも小説を開くのに似ている。あるいは、小説を閉じることに。
メタレプシス。
読者たちは、物語に入るとき、そして物語から追い出されるとき、夢から無理やりに引き剥がされる体験をする。現実とユメの絶対的な境界を、すなわちメタレベル階層を、ぶち抜く瞬間。この意味においてあらゆる小説が、読者がいる現在の場所に対してのメタフィクションなのだ。
栓を抜き新たな酒精を嗅ぐとき、いつのまにか空になった四合瓶に気づくとき、私はユメから無理やりに引き剥がされる。それはとても痛く、厳しく、しかし甘美な体験だ。ひとつのメタ階層の私が死に、またべつの階層に発生するのだから。ユメの断絶。これを味わうために、私は書を読み、酒を呑むのだ。
三本目の天美。ある意味いちばんフラットな気分で味わえたと思う。やはり、旨い。なにもかもバランスがよく、きわめて静謐にまとまっている。
ただまとまりのよいだけの酒ではない。ちょうど天美のラベルの幾何学模様のような、しっかりとした線で、シンプルな、しかし独特の味のカタチを描いてくれる。
これが天美という酒なのだ。と、静かに、譲らず、主張してくるような。
ハッキリとしたガス感が過ぎて、常温に近い状態で舐めてみるとなおのこと、この形が見える。ああ、これはやはりすごい酒だ。二次元の紙面には描き得ない多様体、いくらでもその内を彷徨っていられるような。ほかの記法や数学を、探してみたくなるような。
#日本酒 #お酒 #天美 #和食