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Kijoshu
Kijoshu: sake brewed by sake instead of water
2020/12/13 開栓
昨日投稿した「作 恵乃智」のあとに開栓した。同じ三重の酒になる。
2020に飲んだ酒の中で最も甘口。とろり濃厚な甘酸っぱいシロップを思わせる。美味。
作と立て続けに飲んだためどうしても比較してしまうが、私はこちらのほうが好みだ。この甘さで、しかし後口に一切の嫌味が残らないのは見事としか言いようがない。
アルコール味もはっきり感じるが、ほかの味に溶けてしまいトゲトゲしさや辛さをまるで感じない。アルコールを感じないだけの酒ならいくらでもあるが、感じさせた上でアルコールが丸いのは多くない。
この酒を語るには貴醸酒というものについて説明せねばならないだろう。
大雑把に言えば、水の代わりに酒を使って醸した酒である。吟醸などのように法律で用意された区分ではないため、あくまで酒蔵がこれは「貴醸酒」ですと名乗るだけで普通酒に入れられてしまうのだが…。
一般的に、酒は糖をアルコールに変えて作る。ものすごーく単純化した話、アルコール発酵が進めば進むほど糖が消費されて辛口になる(甘くなくなる)。
では、ほっとけば糖がぜんぶアルコールになってしまうかというとそんなことはなくて、アルコール濃度が濃くなるにつれて酵母の働きが弱まるため、発酵速度が緩やかになり、止まってしまう。
さて貴醸酒の場合、酒で醸す、つまりはじめからアルコールが存在するため酵母の働きはゆるやかで、また糖を消費する量も少ないのだろう。糖がしっかりと残り、甘味の濃い酒ができあがる。
このギザエモンノコイビトに限らず、貴醸酒は過去にいくつか試したことがあるのだが、これはその中でもとくに美味なものだった。へたな貴醸酒だと甘ったるいだけで飲めたものではないとか、おそらく発酵に由来するのだろう鼻につく臭いがあったりするのだが、この酒にはそんな悪いクセがない。
甘く、南国のフルーツ、たとえばマンゴスチンを思わせるような酸味と芳香。糖蜜。サトウキビの芯を齧る。後口は龍眼。ただし渋みはない。これだけ甘くてなお後口がスッキリとたなびく酒は貴重だ。
香りも、確かに醸造由来の独特の香があるのだが、それがキズになっていない。米の香りともまた違う、ちょっとクセのある芳香。ふっと鼻をくすぐる健康な若さ。なるほど、たしかに「コイビト」の名がふさわしい。
チャレンジタンクということで2020年の一種の限定酒のようだが、また飲んでみたいと思える一本だった。
余談だがボトルのデザインもよい。ラベルのように剥がして保存できないのが残念だが、一輪挿しにでもしておきたくなる風情がある。ちと、背が高いが…。
#日本酒 #ギザエモンノコイビト #義左衛門 #若戎酒造 #三重の料理 #和食