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  • 2021/03/08
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尾張牛のハンバーグランチ Cafe&Kitchen ReBorn 名古屋市 地下鉄上前津駅前

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大須のはずれ、上前津駅から南へと下ったあたりのカフェで、遅めのランチをいただいた。

Cafe&Kitchen ReBorn
https://cafe-reborn.owst.jp/

尾張牛のハンバーグランチ
Salisbury Steak, premium branded beef "Owari-gyu"

美味。美味。ギュっと歯ごたえのある肉質、ひき肉の料理でありながら肉を噛む醍醐味が楽しめる。挽いた肉の粒感が心地よいのだ。奥歯でグッと潰すとじわりにじみ出る肉汁が、濃厚なソースと溶けあってじつに美味しい。
芯までよく焼いた、固いタイプのハンバーグ。最近食べた中では、いや、過去自分が食べてきた中でも、最高においしいハンバーグの一つだ。

私見だが、ハンバーグには二つの軸があると考えている。x軸、芯までよく焼くか、中はレアか。y軸、ふわふわと柔らかいか、がっしりと固いか。
どちらが良いという話ではない、それぞれ好みもある。私と言えば、中がややレアより(たとえば静岡のさわやか。あるいは、おとなのヒッコリーのハンブルグステーキのような)が好きで、かつ、しっかりと噛める固いのが好みである。
矛盾している。レアのものはたいてい柔らかいのだ。だが、一度だけ両者を兼ね備えるハンバーグを食べたことがある。

イタリアのハンバーグはこういうのだよ、と述べたのは胡散臭いなりをした料理人だった。京都の路地裏のきったない店で、イタリア人と自称した日本語ぺらぺらの痩せた男。彫りの深い西洋人ぽい顔に、安っぽく金に染めた髪の根本は黒く地色が見えている。
彼が出してきたシロモノは、日本で言うハンバーグとは似ても似つかないまん丸な塊、テニスボールほどか、もう少し大きかったかもしれない。表面はカリっと焼けて、黒ずんだソースの上に転がっていた。
「ナイフで割って食べるんだ」と男は客であるはずの私をせかした。
二つに割ると、スイカのように芯は赤く、外からきれいなグラデーションになっている。口に入れたひと切れは、たしかに火は通っているのに生の肉の鮮烈さが鼻をくすぐる。噛むと、肉の粒がグッと奥歯を押し返す。ねっとりと肉の旨味が広がる。
すじ肉と赤身を混ぜて粗く挽いたのだと言う。イタリアではね、合い挽きというのは豚と牛の挽肉のことじゃない。すじ肉を混ぜたものを指すんだ。まん丸なハンバーグを出してきた男はこちらが食べ終えるまで、饒舌に、無駄口を叩き続けていた。

のちに、イタリア料理に詳しい人にこの話をしたところ、怪訝な顔をしてそんな話は聞いたことがないと言った。そもそも、イタリアではハンバーグはパンに挟んで食べるもので(つまりハンバーガーにするもので)そのまま食べはしないらしい。もしかしたら、自分の知らない地方にはそんな料理があるかもしれないが。イタリアは地方によって料理も全然違うので。と付け足した。

あの京都の路地裏の店の男が出したハンバーグは、たしかに美味しかった。だか、あれは一体何だったのだろう?

今日、名古屋でいただいたハンバーグのランチは、かつてのこの味を思い出させるものだった。火の通し加減は真逆だ。かなりしっかり目に、芯まで焼いてある。だが噛み締めたとき、肉の粒が主張してくるこの感覚は、あの「イタリア人」が出してきたものと同じだ。十代の終わり頃の懐かしい感覚を蘇らせながら、遅い昼食を楽しんだ。

#お昼ご飯 #ハンバーグ
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